株式会社パテント・リザルトはこのほど、大学・研究機関を対象に、2017年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を機関別に集計した「大学・研究機関 他社牽制力ランキング2017」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な機関が明らかになります。
集計の結果、2017年に最も引用された機関は、産業技術総合研究所、次いで科学技術振興機構、東北大学となりました。
【大学・研究機関 他社牽制力ランキング2017 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
産業技術総合研究所 | 1,138 | |
科学技術振興機構 | 483 | |
東北大学 | 292 | |
東京大学 | 273 | |
東京工業大学 | 254 | |
京都大学 | 205 | |
情報通信研究機構 | 189 | |
UNIVERSITY OF CALIFORNIA | 188 | |
農業・食品産業技術総合研究機構 | 182 | |
理化学研究所 | 181 | |
1位 産業技術総合研究所の最も引用された特許は、「哺乳動物細胞の調節」に関する特許(特願2006-502664)で、全てがアシュラジェンインコーポレイテッドの特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されています。次いで、「新規なプロモーター、及びそれを用いたタンパク質の発現方法」に関する特許(特許第4257759号)が多く、全てが本田技研工業の特許6件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2017年に、産業技術総合研究所の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は住友電気工業(24件)、次いで、パナソニック(23件)、東芝(21件)となっています。
2位 科学技術振興機構の最も引用された特許は、「トランジスタ及び半導体装置」に関する特許(特願2002-000047)で、全てが半導体エネルギー研究所の特許5件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかには「電気自動車の制御装置」に関する特許(特許第3603018号)、「ホモロガス薄膜を活性層として用いる透明薄膜電界効果型トランジスタ」に関する特許(特許第4164562号)、「Nd−Fe−B系磁石の粒界改質方法」に関する特許(特許第4548673号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2017年に、科学技術振興機構の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は東芝(11件)と半導体エネルギー研究所(11件)、次いで、東京大学(8件)となっています。
3位 東北大学の最も引用された特許は、「半乾留バイオマス微粉炭材の製造方法および半乾留バイオマス微粉炭材の使用方法」に関する特許(特願2007-225023)で、全てが大王製紙の特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されています。次いで、「単結晶基板の製造方法およびレーザ素子の製造方法」に関する特許(特願2015-039155)が多く、全てがパナソニックの特許6件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2017年に、東北大学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はセイコーエプソン(9件)とパナソニック(9件)、次いで、半導体エネルギー研究所(8件)、大王製紙(8件)となっています。
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