弊社はこのほど「電力・ガス・石油業界」を対象に、2020年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「電力・ガス・石油業界 他社牽制力ランキング2020」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2020年に最も引用された企業は、出光興産、次いで大阪ガス、ENEOSとなりました。
【電力・ガス・石油業界 他社牽制力ランキング2020 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
出光興産 | 576 | |
大阪ガス | 513 | |
ENEOS | 415 | |
中国電力 | 362 | |
東京ガス | 331 | |
東京電力ホールディングス | 242 | |
関西電力 | 183 | |
EXXON MOBIL | 128 | |
中部電力 | 96 | |
東邦ガス | 94 | |
1位 出光興産の最も引用された特許は「結晶質層及び非晶質層を積層してなる酸化物半導体膜を含む薄膜トランジスタ」に関する技術で、半導体エネルギー研究所の「半導体装置の作製方法」など計7件の審査過程で引用されています。このほか「高効率の有機エレクトロルミネッセンス素子」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、半導体エネルギー研究所の5件の拒絶理由として引用されています。
2020年に、出光興産の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は半導体エネルギー研究所(90件)、次いでトヨタ自動車(15件)、三菱ケミカル(13件)となっています。
2位 大阪ガスの最も引用された特許は「着色が著しく少ないフルオレン骨格含有アルコールの製造方法」に関する技術で、田岡化学工業などの計5件の審査過程で引用されています。このほかには「貯槽を内蔵すべき装置の隙間形状に合わせた自由な形状選択が可能な蓄熱槽」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、大和ハウス工業などの計4件の拒絶理由として引用されています。
2020年に、大阪ガスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、ハーマン(24件)、次いで東京ガス(23件)、三菱電機(17件)となっています。
3位 ENEOSの最も引用された特許は「潜熱蓄熱材の機能発現を安定化・効率化するマイクロカプセル」に関する技術で、JSRの「蓄熱材の漏洩を抑制し、優れた蓄熱特性及び耐久性を有する成形体を与える組成物」関連特許など計3件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2020年に、ENEOSの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、出光興産(28件)、次いでトヨタ自動車、京セラ(いずれも12件)となっています。
そのほか、4位 中国電力は「電気自動車に早く充電できる充電スタンド」、5位 東京ガスは「性能や耐久性に優れ、排ガスに含まれる未反応の水素を有効に利用可能な燃料電池システム」が、最も引用された特許として挙げられます。
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