弊社はこのほど、独自に分類した電気機器業界の企業を対象に、2015年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「電気機器業界 他社牽制力ランキング2015」をまとめました(※)。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2015年に最も引用された企業は、パナソニックの15,446件、次いで東芝の9,393件、日立製作所の7,897件となりました。
【電気機器業界 他社牽制力ランキング2015 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
パナソニック | 15,446 | |
東芝 | 9,393 | |
日立製作所 | 7,897 | |
ソニー | 7,012 | |
三菱電機 | 6,658 | |
シャープ | 6,086 | |
NEC | 4,267 | |
富士通 | 4,130 | |
三洋電機 | 3,675 | |
京セラ | 2,162 | |
1位パナソニックの引用された件数の多い特許は、「携帯端末の位置情報検出」に関する特許(特許第4781785号)や、「二次電池などに用いられる非水電解液」(特願2007-514538)が挙げられ、それぞれ後発の特許の審査における拒絶理由としてそれぞれ引用されています。企業別にみると、前者はゼンリンデータコムの3件、三菱電機の2件など合計11件、後者は東京大学の11件となっています。
2015年に、パナソニックの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱電機の656件、次いでシャープの422件、東芝の349件と続いています。
2位東芝の最も引用された特許は、東芝ライテックとの共同出願である「LEDシーリングライトなどにおけるカバー部材の輝度の均一化」に関する特許(特願2011-225074)で、後発の特許11件の審査過程で拒絶理由として引用されています。企業別にはパナソニックの6件をはじめ、東芝ライテックの3件、アイリスオーヤマの2件となっています。
このほかには、「3次元画像を用いた血管、腸、気管、食道などの形態診断」に関する特許(特許第4421203号)や、「熱電発電」に関する特許(特願2010-39187)などが引用件数の多い特許として挙げられます。
2015年に、東芝の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱電機の385件、次いでパナソニックの289件、3月に東芝の医療機器子会社である東芝メディカルシステムズの売却が決まったキヤノンの215件と続いています。
3位日立製作所の最も引用された特許は、「コンタクト抵抗を低減して高速で動作する半導体装置」(特願2008-177550)で、半導体エネルギー研究所による後発の特許13件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかには「充放電管理装置」(特許第4713623号)や「商品販売システム」(特願平4-35303)などが引用件数の多い特許として挙げられます。
2015年に、日立製作所の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱電機の360件、次いで東芝の312件、富士通の244件と続いています。
日本特許庁に特許出願され、2015年12月までに公開されたすべての特許のうち、2015年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
※本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2016年3月末時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
※業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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