弊社はこのほど、独自に分類した情報通信業界の企業を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「情報通信業界 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された企業は、NTT、次いでNTTドコモ、KDDIとなりました。
【情報通信業界 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
NTT | 2,430 | |
NTTドコモ | 1,134 | |
KDDI | 411 | |
日本放送協会 | 314 | |
バンダイナムコエンターテインメント | 311 | |
Ericsson | 284 | |
日立ソリューションズ | 264 | |
コナミデジタルエンタテインメント | 246 | |
Microsoft Technology Licensing | 243 | |
日立産業制御ソリューションズ | 235 | |
1位 NTTの最も引用された特許は、「半導体集積回路のパターン形成方法」に関する特許(特許第4673266号)で、東京エレクトロンや東芝、旭化成など11 件の特許の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほか、「映像コメント入力・表示方法」に関する特許」(特許第3982295号)や「複数のアクセスポイント間の無線チャネルの競合によるスループット低下を抑制する技術」(特許第5159714号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、NTTの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は富士通(149件)で、NEC(91件)、三菱電機(85件)と続いています。
2位 NTTドコモの最も引用された特許は、「電子機器の応答を、ユーザが画面を見ずに容易に確認することができる携帯機器」に関する特許(特許第3949912号)で、APPLEや京セラ、NECなどの後発の特許15件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかには「ユーザの持ち方に応じてタッチスクリーンの画像を動かせる技術」(特願2010-256280)や「無線基地局の送信制御に関する技術」(特許第5189111号)などが引用件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、NTTドコモの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はQualcomm(98件)となっており、富士通(61件)、NEC(55件)と続いています。
3位KDDIの最も引用された特許は、「3次元医療用画像データの遠隔観察に適した立体視画像観察装置」(特願2004-286621)で、後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には東芝メディカルシステムズの5件、ROYAL PHILIPSの1件の審査に影響を与えています。このほか、「低速のデータ信号と高速のデータ信号を効率良く伝送する技術」(特願2006-345597)や、「複数の無線送受信ユニットを一括管理し、上り帯域の割当を動的に変更可能にする技術」(特許第5278110号)などが引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、KDDIの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はNTT(36件)、次いで富士通(24件)、NEC(24件)となっています。
日本特許庁に特許出願され、2016年12月までに公開されたすべての特許のうち、2016年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2017年4月21日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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