弊社はこのほど、独自に分類した医薬品業界の企業を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を企業別に集計した「医薬品業界 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された企業は、Pfizer、次いでNovartis、Merck Sharp & Dohmeとなりました。
【医薬品業界 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
Pfizer(米) | 335 | |
Novartis(スイス) | 328 | |
Merck Sharp & Dohme(米) | 249 | |
F. Hoffmann-La Roche(スイス) | 233 | |
武田薬品工業 | 198 | |
Genentech(米) | 183 | |
AstraZeneca(スウェーデン) | 170 | |
第一三共 | 148 | |
アステラス製薬 | 146 | |
Glaxo Group | 139 | |
1位Pfizerの最も引用された特許には、「抗体製剤」に関する特許(特許第5419709号)および「低粘度のタンパク質製剤」(特許第5405122号)、「真菌感染症の治療に有効な新規トリアゾール誘導体」(特許第2075069号)の3件が挙げられ、いずれも後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されています。
2016年に、Pfizerの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はNovartis(12件)、次いで中外製薬(8件)、Genentech(7件)と続いています。
2位Novartisの最も引用された特許は、Genentechとの共同保有である「タンパク質製剤」(特許第4869064号)で、後発の特許8件の審査過程で拒絶理由として引用されています。企業別にはMillennium Pharmaceuticalsの2件をはじめ、中外製薬、Pfizer、GlaxoSmithKlineなどの各1件となっています。
2016年に、Novartisの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はF. Hoffmann-La Roche(10件)、次いでJohnson & Johnson Vision Care、Pfizer、Allergan(各8件)となっています。
3位Merck Sharp & Dohmeの最も引用された特許のうち、現在も特許権が維持されているものは、「黄色ブドウ球菌などにより引き起こされる感染症の抗生物質」(特許第5166040号)、「平滑筋の弛緩、血小板の不活性などに対する治療及び予防薬」(特許第5501369号)、「癌やアルツハイマー病などに有用な治療薬」(特許第5241834号)が挙げられ、後発の特許3件の審査過程で拒絶理由としてそれぞれ引用されています。
2016年に、Merck Sharp & Dohmeの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はNOVARTIS(9件)、次いでBayer Intellectual Property(7件)となっています。
日本特許庁に特許出願され、2016年12月までに公開されたすべての特許のうち、2016年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2017年4月21日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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