弊社はこのほど、大学・研究機関を対象に、2016年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を機関別に集計した「大学・研究機関 他社牽制力ランキング2016」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な機関が明らかになります。
集計の結果、2016年に最も引用された機関は、産業技術総合研究所、次いで科学技術振興機構、東北大学となりました。
【大学・研究機関 他社牽制力ランキング2016 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
産業技術総合研究所 | 1,184 | |
科学技術振興機構 | 505 | |
東北大学 | 308 | |
東京大学 | 255 | |
東京工業大学 | 222 | |
京都大学 | 221 | |
University of California | 207 | |
情報通信研究機構 | 197 | |
鉄道総合技術研究所 | 192 | |
理化学研究所 | 191 | |
1位産業技術総合研究所の最も引用された特許は、「哺乳動物細胞における遺伝子発現の調節」に関する特許(特願2006-502664)で、後発の特許6件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかには「金属−空気電池」(特許第5207407号)や、「単層カーボンナノチューブ」に関する特許(特許第4621896号)が各5件と、引用された件数の多い特許として挙げられます。
2016年に、産業技術総合研究所の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は東芝(30件)となっており、住友電気工業(27件)、日立製作所(21件)と続いています。
2位科学技術振興機構の最も引用された特許は、「トランジスタ及び半導体装置」(特願2002-000047)となり、後発の特許10件(全て半導体エネルギー研究所)の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほかに引用された件数の多い特許として、「ホモロガス化合物を有する薄膜トランジスタ」(特許第4164562号)、「薄膜トランジスタ」(特許第4620046号)などが挙げられます。
2016年に、科学技術振興機構の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、半導体エネルギー研究所(28件)となっており、NTT、東京エレクトロン、東芝、大日本印刷(各7件)と続いています。
3位東北大学の最も引用された特許は、昭和飛行機工業との共同保有である「非接触給電装置」に関する特許(特許第4356844号)で、後発の特許7件の審査過程で拒絶理由として引用されています。このほか引用された件数の多い特許として、「トランジスタ及び半導体装置」(特許第3276930号)、「透明体貼付用スクリーン」(特許第5366086号)、「分光計測装置」(特願2007-028264)などが挙げられます。
2016年に、東北大学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、大日本印刷(12件)となっており、半導体エネルギー研究所(11件)、東京エレクトロン、東芝、パナソニック(各10件)と続いています。
日本特許庁に特許出願され、2016年12月までに公開されたすべての特許のうち、2016年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2017年4月21日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
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