弊社はこのほど「化学業界」の特許を対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2021」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2021年に最も引用された企業は、富士フイルム、次いで三菱ケミカル、花王となりました。
【化学業界 他社牽制力ランキング2021 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
富士フイルム | 4,001 | |
三菱ケミカル | 1,887 | |
花王 | 1,597 | |
積水化学工業 | 1,262 | |
日東電工 | 1,165 | |
旭化成 | 1,025 | |
昭和電工マテリアルズ | 995 | |
住友化学 | 968 | |
DIC | 755 | |
三井化学 | 734 | |
1位 富士フイルムの最も引用された特許は「駆動耐久性及び発光特性が良好な発光素子」に関する技術で、半導体エネルギー研究所などの計15件の審査過程で引用されています。このほかには「配向性を有さない基板上に複合酸化物等の無機結晶性配向膜を成膜する方法」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、半導体エネルギー研究所の計12件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン(237件)で、次いでコニカミノルタ(141件)となっています。
2位 三菱ケミカルの最も引用された特許は「熱膨張などで寸法変化が生じた場合に反りの発生が抑制されるガラス積層体」に関する技術で、ダイセルなどの計7件の審査過程で引用されています。このほかには「光取り出し効率を改善したフリップチップ型のGaN系発光素子」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、ディスコの計7件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、三菱ケミカルの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、大日本印刷(52件)で、次いで東レ(37件)となっています。
3位 花王の最も引用された特許は「親水性の均一性、液の透過性及び生産性に優れた長繊維不織布」に関する技術で、PROCTER & GAMBLEと三井化学の計5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2021年に、花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、ユニ・チャーム(64件)で、次いでPROCTER & GAMBLE(61件)となっています。
そのほか、4位 積水化学工業は「インクジェット法で容易に塗布でき、硬化性、透明性、バリア性に優れる有機エレクトロルミネッセンス表示素子用封止剤」、5位 日東電工は「最大磁束密度を向上させた永久磁石」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2022年4月15日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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