弊社はこのほど「電力・ガス・石油業界」の特許を対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「電力・ガス・石油業界 他社牽制力ランキング2021」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2021年に最も引用された企業は、出光興産、次いで大阪ガス、ENEOSとなりました。
【電力・ガス・石油業界 他社牽制力ランキング2021 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
出光興産 | 564 | |
大阪ガス | 471 | |
ENEOS | 389 | |
中国電力 | 364 | |
東京ガス | 321 | |
東京電力ホールディングス | 235 | |
関西電力 | 176 | |
EXXONMOBIL | 103 | |
中部電力 | 89 | |
東邦ガス | 74 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
1位 出光興産の最も引用された特許は「結晶質層及び非晶質層を積層してなる酸化物半導体膜を含む薄膜トランジスタ」に関する技術で、半導体エネルギー研究所の計9件の審査過程で引用されています。このほかには「粘度−温度特性、低温流動性、蒸発特性などに優れた潤滑油組成物」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、CASTROLの計4件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、出光興産の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は半導体エネルギー研究所(93件)で、次いでMERCK、ENEOS、トヨタ自動車(いずれも16件)となっています。
2位 大阪ガスの最も引用された特許は「着色が著しく少ないフルオレン骨格含有アルコール」に関する技術で、本州化学工業などの計7件の審査過程で引用されています。このほか「新規なフルオレン化合物及びその製造方法」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、本州化学工業と田岡化学工業の計5件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、大阪ガスの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、東京ガス(24件)で、次いでリンナイ(21件)となっています。
3位 ENEOSの最も引用された特許は「種類の異なる複数の発電装置からの電力を用いることが可能なシステム」に関する技術で、パナソニックIPマネジメントなどの計5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2021年に、ENEOSの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、出光興産(25件)で、次いで富士フイルム(14件)となっています。
そのほか、4位 中国電力は「安全かつ簡単に事故点の探査を行える事故点探査装置」、5位 東京ガスは「系統電力の安定運用の目的で備えられる分散型電源の運転システム」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2022年4月15日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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