弊社はこのほど「繊維・紙・パルプ業界」を対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2021」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2021年に最も引用された企業は、東レ、次いで東洋紡、帝人となりました。
【繊維・紙・パルプ業界 他社牽制力ランキング2021 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
東レ | 1,627 | |
東洋紡 | 677 | |
帝人 | 479 | |
王子ホールディングス | 450 | |
大王製紙 | 398 | |
ユニチカ | 297 | |
三菱製紙 | 204 | |
日本製紙 | 161 | |
3M | 149 | |
グンゼ | 134 | |
1位 東レの最も引用された特許は「ポリ乳酸系樹脂微粒子およびそれを用いてなる化粧品」に関する技術で、積水化成品工業などの計5件の審査過程で引用されています。このほか「着用者に不快感を与えず、長期間安定的に生体信号を検出可能な生体信号検出衣料」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、NTT、東洋紡などの計5件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、東レの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は三菱ケミカル(66件)で、次いで大日本印刷(41件)となっています。
2位 東洋紡の最も引用された特許は「青果物を中心とした重量物の包装にも十分な強度を有し、かつ腰感が良好なヒートシール性ポリプロピレン系樹脂積層フィルム」に関する技術で、三井化学東セロなどの計6件の審査過程で引用されています。このほかには「150℃でPETに匹敵する低収縮率を有し、高剛性であるヒートシール性延伸ポリプロピレン積層フィルム」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、三井化学東セロなどの計5件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、東洋紡の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、大日本印刷(33件)で、次いで東レ(30件)となっています。
3位 帝人の最も引用された特許は「バリの発生を抑え、面性状が良好で、平滑性に優れた端面を有する炭素繊維強化樹脂加工品」に関する技術で、ARKEMAなどの計5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2021年に、帝人の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、東レ(25件)で、次いで三菱ケミカル(16件)となっています。
そのほか、4位 王子ホールディングスは「機械的物性が優れた成形体を製造可能な微細セルロース繊維含有樹脂組成物」、5位 大王製紙は「十分な強度を備えるスパイラル紙管、生産効率が高く潰れ難い衛生紙ロール」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2022年4月15日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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