弊社はこのほど「大学・研究機関」の特許を対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を大学・機関別に集計した「大学・研究機関 他社牽制力ランキング2021」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な大学・機関が明らかになります。
集計の結果、2021年に最も引用された大学・機関は、産業技術総合研究所、次いで東京大学、科学技術振興機構となりました。
【大学・研究機関 他社牽制力ランキング2021 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
産業技術総合研究所 | 883 | |
東京大学 | 354 | |
科学技術振興機構 | 306 | |
大阪大学 | 262 | |
京都大学 | 253 | |
東北大学 | 252 | |
UNIVERSITY OF CALIFORNIA | 200 | |
東京工業大学 | 196 | |
九州大学 | 176 | |
農業・食品産業技術総合機構 | 174 | |
1位 産業技術総合研究所の最も引用された特許は「圧電基板の電気機械結合係数を維持し、且つ周波数温度特性を改善した、容易に製造できる弾性表面波素子」に関する技術で、日本ガイシなどの計5件の審査過程で引用されています。このほか「橋梁等の構造物上の被写体の画像を用い、構造物のたわみ量分布を監視する装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、フジタ、NTTドコモなどの計4件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、産業技術総合研究所の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業・機関は富士電機(17件)で、次いで東芝(14件)となっています。
2位 東京大学の最も引用された特許は「撮像装置を用いて、電子部品などを目標位置に移動させる位置決め装置」に関する技術(日立製作所と共願)で、オムロンなどの計6件の審査過程で引用されています。このほかには「抗原特異的T細胞の製造方法」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、京都大学などの計5件の拒絶理由として引用されています。
2021年に、東京大学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業・機関はNEC(11件)で、次いで日本製紙、京都大学、オムロン(いずれも7件)となっています。
3位 科学技術振興機構の最も引用された特許は「ホモロガス薄膜を活性層として用いる透明薄膜電界効果型トランジスタ」に関する技術で、半導体エネルギー研究所の計5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2021年に、科学技術振興機構の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業・機関は京都大学(11件)で、次いで半導体エネルギー研究所(10件)となっています。
そのほか、4位 大阪大学は「応用範囲を拡張できる反射構造体」、5位 京都大学は「高品質のGa2O3系半導体素子」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出。
本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2022年4月15日時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
業種は総務省の日本標準産業分類を参考に分類しています。
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