弊社はこのほど「化学業界」を対象に、2022年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「化学業界 他社牽制力ランキング2022」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2022年に最も引用された企業は、富士フイルム、次いで三菱ケミカル、花王となりました。
【化学業界 他社牽制力ランキング2022 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
富士フイルム | 3,959 | |
三菱ケミカル | 2,021 | |
花王 | 1,692 | |
積水化学工業 | 1,254 | |
日東電工 | 1,205 | |
旭化成 | 1,100 | |
レゾナック | 1,080 | |
住友化学 | 923 | |
DIC | 759 | |
信越化学工業 | 736 | |
1位 富士フイルムの最も引用された特許は、昨年と同様に「駆動耐久性及び発光特性が良好な発光素子」に関する技術で、半導体エネルギー研究所などの計10件の審査過程で引用されています。このほかには「色再現性が高く、虹ムラの発生が抑制された液晶表示装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、大日本印刷などの計8件の拒絶理由として引用されています。
2022年に、富士フイルムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノン(222件)、次いでコニカミノルタ(117件)となっています。
2位 三菱ケミカルの最も引用された特許は「ポリプロピレンフィルムを基材とした高性能ガスバリア性フィルム」に関する技術で、大日本印刷の計7件の審査過程で引用されています。このほか「航空機用材料用途にも好適な繊維強化複合材料」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、東レなどの計6件の拒絶理由として引用されています。
2022年に、三菱ケミカルの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は大日本印刷(62件)、次いで日東電工(39件)です。
3位 花王の最も引用された特許は「歯磨剤用顆粒の製造方法」に関する技術で、SUNSTAR SUISSEの計5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2022年に、花王の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はユニ・チャーム(115件)、次いで大王製紙(59件)となっています。
そのほか、4位 積水化学工業は「有機エレクトロルミネッセンス表示素子用封止剤」、5位 日東電工は「光学部材および画像表示装置」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2022年12月までに公開された全特許のうち、2022年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2023年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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