弊社はこのほど「医療機器業界」を対象に、2022年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「医療機器業界 他社牽制力ランキング2022」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2022年に最も引用された企業は、キヤノンメディカルシステムズ、次いでテルモ、富士フイルムヘルスケアとなりました。
【医療機器業界 他社牽制力ランキング2022 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
キヤノンメディカルシステムズ | 586 | |
テルモ | 501 | |
富士フイルムヘルスケア | 380 | |
MEDTRONIC | 341 | |
BOSTON SCIENTIFIC | 230 | |
GE MEDICAL SYSTEMS GLOBAL TECHNOLOGY COMPANY | 206 | |
BECTON DICKINSON | 187 | |
ニデック | 185 | |
ニプロ | 159 | |
オムロンヘルスケア | 134 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
1位 キヤノンメディカルシステムズの最も引用された特許は「医用画像データを用いて脳卒中の兆候を検出する際の医用画像処理装置」に関する技術で、富士フイルムなどの計4件の審査過程で引用されています。このほかには「核医学画像診断装置」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、SIEMENS HEALTHCAREの計2件の拒絶理由として引用されています。
2022年に、キヤノンメディカルシステムズの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はROYAL PHILIPS(86件)、次いで富士フイルム(55件)となっています。
2位 テルモの最も引用された特許は「シリンジの外筒内のガスケットを装着するためのガスケット挿入方法」に関する技術で、W. L. GORE & ASSOCIATESの計5件の審査過程で引用されています。このほか「抗血栓性コーティング材の製造方法」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、住友ゴム工業などの計3件の拒絶理由として引用されています。
2022年に、テルモの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はBECTON DICKINSON(20件)、次いで朝日インテック(19件)です。
3位 富士フイルムヘルスケアの最も引用された特許は「固有の雑音やくせを除去する画像処理装置」に関する技術で、キヤノンメディカルシステムズなど計5件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2022年に、富士フイルムヘルスケアの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業はキヤノンメディカルシステムズ(84件)、次いでROYAL PHILIPS(43件)となっています。
そのほか、4位 MEDTRONICは「患者への針インジェクタデバイス」、5位 BOSTON SCIENTIFICは「ディレクトドライブ内視鏡法システム」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2022年12月までに公開された全特許のうち、2022年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2023年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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