弊社はこのほど「医薬品業界」を対象に、2023年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「医薬品業界 他社牽制力ランキング2023」をまとめました。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになります。
集計の結果、2023年に最も引用された企業は、MERCK(独)、次いでF. HOFFMANN LA ROCHE(スイス、以下:ROCHE)、NOVARTIS(スイス)となりました。
【医薬品業界 他社牽制力ランキング2023 上位10社】
順位 | 企業名 | 引用された 特許数 |
---|---|---|
MERCK(独) | 383 | |
F. HOFFMANN LA ROCHE(スイス) | 381 | |
NOVARTIS(スイス) | 316 | |
BAYER(独) | 285 | |
PFIZER(米) | 247 | |
GENENTECH(米) | 224 | |
武田薬品工業 | 214 | |
SANOFI(仏) | 213 | |
GLAXOSMITHKLINE(米) | 211 | |
BRISTOL-MYERS SQUIBB(米) | 205 | |
※当ランキングでは、企業グループを考慮した名寄せを行っております。
※MERCKは医薬・化学企業ですが、同社発表の売上割合を基に医薬品業界に分類しています。
このため、当ランキングで対象とした同社特許には「化学」技術に関するものも含まれています。
1位 MERCKの最も引用された特許は「免疫チェックポイント阻害薬と癌に関する受容体の開発」に関する技術で、ACCELERON PHARMA(米)などの計6件の審査過程で引用されています。このほかには「腫瘍免疫や癌の治療のための抗PD-L1抗体」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、WUXI BIOLOGICS(中)などの計5件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、MERCKの特許によって影響を受けた件数が多い企業はDIC(14件)、JNC(11件)などとなっています。
2位 ROCHEの最も引用された特許は「免疫療法剤として使用するためのミュータントインターロイキン-2ポリペプチド」に関する技術で、NOVARTISなどの計7件の審査過程で引用されています。このほか「湿気に敏感な薬物を含む固定用量多剤混合製剤」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、興和の計5件の拒絶理由として引用されています。
2023年に、ROCHEの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は日立ハイテク(11件)、次いでAMGEN(米)(7件)です。
3位 NOVARTISの最も引用された特許は「がん細胞や感染症の治療や診断に使える抗体分子」に関する技術で、XENCOR(米)など計9件の審査過程において拒絶理由として引用されています。
2023年に、NOVARTISの特許により影響を受けた件数が最も多い企業はAMGEN(10件)、次いでBRISTOL-MYERS SQUIBB(9件)となっています。
そのほか、4位 BAYERは「抗プロラクチン受容体抗体製剤」、5位 PFIZERは「治療抗体およびその使用」が、最も引用された特許として挙げられます。
【ランキングの集計について】
日本特許庁に特許出願され、2023年12月までに公開された全特許のうち、2023年1月~12月末の期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を対象に、抽出・集計をしています。
また本ランキングでは、権利移転を反映した集計を行っています。2024年5月時点で権利を保有している企業の名義でランキングしているため、出願時と企業名が異なる可能性があります。
なお各企業の業種につきましては、総務省の日本標準産業分類等を参考に分類しています。
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本ランキングの詳細データを、下記の通り販売しています。
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