弊社はこのほど、バラスト水処理技術について、参入企業に関する調査結果をまとめました。バラスト水とは、主に貨物船において、積荷を降ろした際に重しとしてバランスを取るために使用する水のことですが、荷物積載時には排出されるため、港周辺の生態系に悪影響を与えるなど問題視されています。そこで、国際海事機関(IMO)は「バラスト水管理条約」を採択し、将来的には全ての船舶にバラスト水処理装置の搭載が義務付けられました。この動向は造船会社などを中心に、大きなビジネスチャンスと捉えられています。
今回の調査では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行いました。その結果、「総合力ランキング(※)」では、1位三井造船、2位 日立製作所、3位 三菱重工業となりました。
【バラスト水処理技術 特許総合力トップ5】
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
開発規模 (出願件数) |
個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
三井造船 | 206.0 pt | 38 | 76.5 pt | |
日立製作所 | 61.6 pt | 7 | 75.1 pt | |
三菱重工業 | 51.2 pt | 17 | 76.2 pt | |
水圏科学 コンサルタント | 43.5 pt | 4 | 69.9 pt | |
JFE エンジニアリング | 42.7 pt | 21 | 61.8 pt | |
図1:バラスト水処理技術 競合状況
総合力1位となった三井造船は、本分野への出願が他社と比較して早くはないものの、出願件数が2位のJFEエンジニアリングの約2倍、さらには登録特許も非常に多く、バラスト水処理技術に関する積極的な特許戦略が伺い知れます。このような取り組みは、三井造船がIMOの基本承認を素早く受けている要因の一つと考えられます。
本分析の詳細については、定型レポート「バラスト水処理技術」にてご覧いただけます。
(※)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を機関ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
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