弊社はこのほど、『半透膜を用いた分離関連技術』について、世界での特許総合力(※1)を示す「グローバルスコア(※2)」の企業ランキングを、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて集計しました。
半透膜を用いた分離技術は、特定の物質のみを通過させる膜を利用して混合物から目的物質を選択的に分離・濃縮・精製する方法で、水処理や医療、食品など幅広い業界で使用されています。本調査では業界を絞らず『半透膜を用いた分離関連技術』全般について、日本、米国、欧州、中国の主要4国・地域における「パテントスコア」(個別特許の注目度を得点化)を合算し、世界における特許の質と量を総合的に見た評価を行いました。
集計の結果、「グローバルスコア 特許総合力ランキング」では、1位 東レ、2位 栗田工業、3位 旭化成となりました(表1、図1、図2)。
【半透膜を用いた分離関連技術:グローバルスコア 特許総合力トップ5】(表1)
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
有効特許件数 | 個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
東レ | 3,806.8 | 563 | 90.7 | |
栗田工業 | 2,495.2 | 440 | 92.7 | |
旭化成 | 2,327.9 | 407 | 93.2 | |
オルガノ | 2,156.9 | 422 | 90.0 | |
EVOQUA WATER TECHNOLOGIES(米) | 2,086.1 | 235 | 97.9 |
図1:【半透膜を用いた分離】関連技術 競合状況
図2:【半透膜を用いた分離】関連技術 国別スコア内訳
1位 東レは日本特許に次いで中国特許の寄与が大きくなっており、中国特許におけるランキングでは1位となっています。注目度の高い特許には、「セルロース含有バイオマスから発酵阻害物質を除去した糖液を製造する方法」や「複数の異なる原水を利用して淡水を生産することができる造水システム」などが挙げられます。
2位 栗田工業は日本特許の寄与が大きく、次いで中国特許となっています。注目度の高い特許には、「濃縮水の残留塩素を制御することで、逆浸透膜装置と濃縮水エネルギー回収装置の両方の生物膜付着を抑制する逆浸透膜処理システムの運転方法」や「廃水処理を低コスト化し、水の回収率を高めて処理の安定化を図る循環冷却水システムの排出水回収装置」などが挙げられます。
3位 旭化成は日本特許に次いで中国特許の寄与が大きくなっています。注目度の高い特許は「高い透析性能を示す大膜面積のポリスルホン透析器」や「高い疎水性と多孔性を持つ中空繊維膜を使用した膜蒸留装置」などが注目度の高い特許として挙げられます。
4位 オルガノは「溶解シリカや硬度成分を含む水を低コストで処理できる水処理方法」などが、5位 EVOQUA WATER TECHNOLOGIESは「ガスリフトポンプ装置を用いて無作為にパルス状の気液二相流を発生させ、中空糸膜モジュールの膜表面の付着物を除去する膜ろ過装置」などが注目度の高い特許として挙げられます。
6位以下には、EMD MILLIPORE(米)、三菱化学などの企業がランクインしています。
本分析の詳細については、『半透膜を用いた分離関連技術』グローバルスコア:ランキングデータにてご覧いただけます。
(※1)総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する、「パテントスコア」を企業ごとに集計し、パテントスコアが50点以上のものを合算しています。50点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても特許件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
(※2)グローバルスコアは、日本、米国、欧州特許庁、中国の主要4国・地域の出願分についてパテントスコアを合算し、世界での技術競争力を評価したものです。
2024年5月30日までに発行された特許が対象。登録公報と、公開公報が重複している場合は、登録を優先しています。企業等は権利者ベースで集計しています。
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『半透膜を用いた分離関連技術』グローバルスコア:ランキングデータ
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・有効特許件数ランキング 上位30社リスト
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