弊社はこのほど、SiCパワー半導体デバイス関連技術について、参入企業に関する調査結果をまとめました。従来から使われているシリコン(Si)によるパワー半導体デバイスは、耐圧が理論限界値に近付いており、これ以上の改善は難しいとされています。そのため、絶縁破壊電圧が高いSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といったワイドバンドギャップ型半導体が注目されており、これらの材料を用いたパワー半導体デバイスは、Siと比較して、より損失を抑えることが可能になります。
今回の調査では、特に「SiC」に着目しました。SiCパワー半導体デバイス関連の特許を集計し、各個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行いました。
その結果、「総合力ランキング(※)」では、1位 CREE、2位 デンソー、3位 パナソニックとなりました。
【SiCパワー半導体デバイス関連技術 特許総合力トップ5】
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
開発規模 (出願件数) |
個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
CREE | 685.7 pt | 62 | 76.56 pt | |
デンソー | 589.4 pt | 173 | 73.08 pt | |
パナソニック | 554.4 pt | 102 | 86.5 pt | |
三菱電機 | 391.8 pt | 103 | 78.63 pt | |
日産自動車 | 354.5 pt | 131 | 77.66 pt | |
図1:SiCパワー半導体デバイス関連技術 競合状況
パワー半導体デバイス関連技術全体で5位のCREEは、SiCに限定するとトップとなりました。CREEはSiC基板で有名ですが、特許を通して分析すると、デバイス化についても強みを持っているということがわかります。
また、5位に自動車メーカーである日産自動車が入っていることも大きな特徴と言えます。日産自動車は出願件数も2位と多く、車載用パワー半導体デバイスに対する自社開発の意欲が現れていると言えます。
本分析の詳細については、定型レポートの「SiCパワー半導体デバイス関連技術」に掲載しています。
※総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を企業ごとに集計し、そのうち分析母集団における平均点以上のパテントスコアの値を集計しています。平均点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
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