弊社はこのほど、SiC基板関連技術について、参入企業に関する調査結果をまとめました。現在SiCパワー半導体デバイスが注目されているものの、基板の作成が難しく、かつては米・CREEのほぼ独占状態となっていました。しかし、近年では参入企業も増え、品質も向上し、コスト削減のための大口径化も進んできました。
今回の調査ではSiC基板関連の特許を集計し、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行いました(2011年2月末時点のパテントスコアに基づき評価)。
その結果、「総合力ランキング(※)」では、1位 デンソー、2位 CREE、3位 新日本製鐵となりました。
【SiC基板関連技術 特許総合力トップ5】
順位 | 企業名 | 総合力 (権利者スコア) |
開発規模 (出願件数) |
個別力 (最高スコア) |
---|---|---|---|---|
デンソー | 495.6 pt | 152 | 75.3 pt | |
CREE | 420.1 pt | 39 | 73.1 pt | |
新日本製鐵 | 250.5 pt | 98 | 73.4 pt | |
豊田中央研究所 | 141.9 pt | 34 | 75.3 pt | |
住友電気工業 | 135.7 pt | 39 | 77.7 pt | |
図1:SiC基板関連技術 競合状況
上位3社ともバルクSiC結晶基板に関する特許が多く見られます。1位デンソーは豊田中央研究所との共同出願であるa面成長に関する技術が、2位CREEは欠陥密度規定に関する技術などの評価が高く、これら2社にはエピタキシャル基板に関する技術にも高評価のものが存在します。3位新日本製鐵はSiCインゴットに関する技術などが注目度の高い特許として挙げられます。
4位豊田中央研究所は集計対象特許の全てがデンソーとの共願となっています。5位住友電気工業は同社発ベンチャー企業であったシクスオンが共同出願人である特許の評価が高くなっています。また、子会社の日新電機を含めて計算すると、4位豊田中研を抜く結果になります。
本分野ではCREEの他にも外国企業が見受けられます。件数は多くはないものの、ロームが買収した独・SiCrystalや米・II-IV(ツーシックス)、スウェーデン・NORSTELなどが比較的高い評価になっています。中国・TankeBlue Semiconductorは日本への出願が見られませんでした。
本分析の詳細については、定型レポート「SiC基板関連技術」にてご覧いただけます。
※総合力の評価では、個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」を企業ごとに集計し、そのうち分析母集団における平均点以上のパテントスコアの値を集計しています。平均点以上のものだけを集計している理由は、パテントスコアが低くても件数が多いことによって総合力が上がってしまうことを防ぐためです。
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